相談事例

加古川の方より家族信託に関するご相談

2024年05月07日

Q:司法書士の方が生前対策として勧めるのは家族信託と遺言書のどちらでしょうか。(加古川)

はじめまして、私は加古川に住む今年73になる男性です。自分の相続について真剣に考えたことはなかったのですが、先日、自分よりも若い友人が家族信託という新しい生前対策がよさそうだと話していたのを聞いて、自分も子供たちに揉めてほしくはないですし、そろそろ何かしなければと思いはじめました。生前対策といえば遺言書だと思っていたので遺言書についてはなんとなくわかるのですが、家族信託はどのような制度でしょうか。家族信託と遺言書の違いについて司法書士の方にお伺いします。(加古川)

A:遺言書は死後から、家族信託は契約を結んだその時から効力が始まります。

家族信託は、従来の生前対策よりも柔軟な財産管理および円滑な遺産承継を行える生前対策として平成18年に誕生した、信頼できるご家族などに、不動産や預貯金などといったご自身の財産の管理、運営、処分などを託す財産管理方法です。遺言と家族信託制度の最大の違いは、その効力が発生する時期です。遺言の効力の発生するタイミングは、遺言者の死後、相続人が遺言書を開封した時から始まります。一方、家族信託は信託契約を結んだ時点です。そもそも契約は法律行為となるため、ご本人様がご健在でいらっしゃるときからその効力を発生させることができるということになります。しかもその効力は亡くなったあとも維持することができます。

従来、生前対策といえば遺言書でしたが、遺言書にはいくつか問題点があったため改善が望まれていました。例えば、認知症を患う方が病院への通院や介護施設に通うための費用を管理することは難しいですが、かといってこのようなケースでは遺言書を利用することは出来ません。この場合、家族信託契約を結んでいれば、ご家族などご自身で決めた受託者に財産管理を任せているので、ご本人が認知症になった場合でも受託者が財産管理を行ってくれます。ご本人はもちろんのこと、ご家族の負担も大幅に軽減されます。ただし、家族信託は法律行為である「契約」ですので、認知症を患う前に契約をしておかなければなりません。

 

さらに家族信託では、ご自身の財産の行先について子供から孫、と連続して指定することが可能です。遺言では本人から見て直後までしか指示することはできないため、家族信託は安心の大きさが違います。

なお、家族信託は契約時にある程度の費用を準備する必要がありますが、ご自身の財産に関するご希望、ご要望を先の代まで遺すことで安心した老後生活が叶う家族信託をおすすめいたします。

 

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